「鍵が回らない」「鍵が抜けない」「鍵が開かない」──そんなトラブルに直面すると、すぐに鍵屋を呼びたくなるものですが、呼ぶ前にご自宅で確認・試せることがいくつかあります。
ここでは、事前にチェックしておきたいポイントや、やってはいけない注意事項をまとめました。
鍵が動かない原因はさまざまですが、主に次のようなケースが考えられます。
焦って自己流で対処しようとすると、状況をさらに悪化させ、修理費用を高くしてしまうことがあります。
以下の行動は絶対に避けてください。
最もやってはいけない行動です。鍵が中で折れたり、鍵穴の内部(シリンダー)が破損したりする最大の原因となります。
ピッキングのように異物を入れていじると、内部の精密な部品を傷つけてしまい、鍵全体の交換が必要になる可能性が高まります。
一般的な潤滑油やサラダ油などを注入すると、一時的に滑りが良くなったように感じても、内部で油がホコリを吸着して粘土のように固まってしまいます。
折れた鍵の断面に接着剤を付け、鍵穴に残った破片とくっつけて引き抜こうとするのは非常に危険です。鍵穴内部で接着剤が固まってしまい、鍵穴自体が完全に使えなくなる最悪のケースにつながります。
下記のチェックを順番に試すことで、簡単に解決できる場合もあります。
安全な範囲で、落ち着いて一つずつ確認してみましょう。
いつも使っている鍵が汚れたり変形したりしている可能性もあります。別の鍵があれば、まずそれで開くか試しましょう。
→スペアでも回らない場合は、鍵穴側の不具合の可能性が高いです。
鍵: 歯ブラシや乾いた布で、鍵の溝や窪みの汚れを丁寧に取り除きます。
鍵穴: 掃除機のノズルを鍵穴に当てて中のゴミを吸い出すか、エアダスターでゴミを吹き飛ばします。
※針金や楊枝を差し込むのは厳禁です。
鍵をゆっくりと上下左右に動かしたり、少しだけ回した状態で抜き差ししたりすると、うまく噛み合って回ることがあります。
鉛筆(2B以上)で鍵の溝をなぞると、黒鉛の潤滑効果で滑りが良くなることがあります。
鍵の溝を鉛筆でなぞるように塗り、数回抜き差ししてみてください。
寒冷地での凍結が原因なら、ドライヤーの弱風やカイロでゆっくり温めましょう。
※熱湯をかけるのは金属が変形する恐れがあるため避けてください。
ドアのガタつき歪み、受け金具(ストライクプレート)のずれで施錠できないことがあります。
ネジの緩みがあれば軽く締め直してみましょう。
必ず「鍵穴専用」と書かれた、速乾性のあるパウダースプレータイプのものを使用してください。
鍵穴に少量吹き付け、鍵を数回抜き差しして馴染ませます。
※クレ556や機械油は絶対NG。埃と固まって逆効果になります。
電池式の電子錠の場合は電池を交換し、電源式の場合は停電していないか確認しましょう。
勝手に鍵を交換したり修理したりすると、契約違反になる可能性があります。まずは管理会社や大家さんに連絡して指示を仰ぎましょう。
スムーズに対応してもらうために、次の情報を整理しておくと安心です。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 鍵の種類 | ディンプルキー・ギザギザキー・電子錠など |
| 鍵の メーカー |
MIWA、GOAL、WEST、SHOWAなど、刻印を確認 |
| ドアの種類 | 木製/アルミ製/引き戸などの構造も |
| 状況の詳細 | 「鍵が回らない」「途中まで回る」「抜けない」など具体的に |
| 場所・ 建物情報 |
自宅・オフィス・賃貸など(管理会社の有無も) |
| 鍵の保証・ 契約 |
賃貸契約や保険で鍵修理がカバーされていないか確認 |
| 写真 | 鍵やドア周辺をスマホで撮っておくとスムーズです |
鍵のトラブルは、焦って力任せに動かすと破損や高額修理につながることがあります。
ここまでご紹介した方法を試しても鍵のトラブルが改善しない場合は、内部の部品が故障している可能性が高いです。
そうなった場合は、無理せず速やかにプロの鍵屋に相談しましょう。専門家であれば、鍵や錠を傷つけることなく、原因を特定し、迅速にトラブルを解決してくれます。
正しい対処で、大切な住まいの安全を守りましょう。